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「権力の日本人」橋本治、「インド日記」小熊英二

スクーリングに通う間、久しぶりに電車に乗ったので(普段は車通勤)本を読む時間がたっぷりあった。なにせ、片道1時間以上かけていたので。

でも、4日間の往復で読めたのは2冊だけ。

「権力の日本人」は、先だって、偶然本屋で見かけ、タイトルと著者名に惹かれて買ったのだけれど、もうとにかく人名が山のように出てきてついていけない。高校で日本史とってなかったし、ってのは言い訳にはなりませんな。世界史で習った人名、覚えているかと言われたら絶句するしかないわけで。
で、この本、平清盛はなぜ悪人か、という話から始まり、鎌倉時代は勿論のこと、平安、果ては奈良時代までさかのぼり、歴代天皇の周辺その他の人物名、家系図、年表が、次から次へと出てくるのです。
確かに、奈良時代ってそんなに現代なのか!とか、続日本紀が読みたくなったりとか、刺激の多い本ではあったのですが、いかんせん、頭に入ってこないし残らない…。
多少なりとも人物名についていけるところが、全部、漫画がらみ(途中で挫折した「天上の虹」里中満智子と、「古代幻想ロマンシリーズ」長岡良子)ってあたりが情けないのですが、でも、どうしても、文字で見るだけの人名って、無機質なのですよね。
そこへいくと漫画は、絵で頭に残ってるので、藤原不比等も五百重も武智麻呂も宇合も房前も、橘美千代も、もはやあの絵でしか想像できないけれど、頭の中でちゃんと、キャラクターの識別が出来るのですよ、絵があると。

ううーん、続編の「院政の日本人」も買わねばなりますまいて。「日本人」ってなんだ、と言いたくなるけど、いや、でも、しかし…。


で、もう一冊のインド日記。
小熊英二という人の本を、一度読みたい、と思いつつ、高いのと、難しい本かも、という躊躇いから、とりあえず、この本を買ってみた。
いやー、面白い。日記だからどこから読んでも、どこでやめてもいいし、そのくせ、どこを開いても刺激的。他の本も色々読みたくなってくる。インドに特段の興味がない人でも、日本に興味があるのなら、ぜひ。
そして、「日本人とは日本国籍を有する人。それ以外の意味はない」と言い切ろうとして自分の中に残るわずかな躊躇いが、私個人のものではなく、他人と共有されうるものだということも確認できた本だった。この本は、それだけを論じているわけではないので、そこが掘り下げられているわけではないが、「どうしたらヒンズー教徒になれるか」と「どうしたら日本人になれるか」のあたり、特に興味深かった。
…現実のインドへ行ってみたいとは、あまり思えない私ですが、この本を通して、インドを垣間見るのはとてもおもしろうございました。
by mmemiya | 2006-06-20 23:46 | 読んだ本