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La Lune Lunatique

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時には昔の話を

大学時代に、あれは一応、民俗学の授業みたいなもんだと思うのだけれど、「祖父母が健在なら、昔の話を聞いてくるように」という、夏休みの宿題?が出たことがあった。
何人兄弟だったかとか、どんなものを食べていたかとか、どんな遊びをしていたのかとか、例えばそんなことを聞くように、ということだったように思うのだけれど、後で母に話したら、「私もそんな話は初めて聞いた」みたいな話もあったりして、その時、意外と、祖父母や親の昔の話って、知らないものなんだなぁと実感させられた。

そういえば、去年のお正月の後、夫と、料理番組等の普及によって全国おおむね同じようになってしまう前の昔のお節というのは(多分、地方で大きく異なったのだと思うけれど)どんなものだったのか、一度、祖母に聞いてみたいね、なんて話になったこともあった。会いに行くとそんなこと、忘れてしまったりするので、とうとう聞けないままになってしまったけれど、多分、戦争直後の物のない時代の父母の記憶とはまた違った話が聞けたのではないかと思うのだ。

そういえば、これも大学時代、私のアパートに、祖母はよく色々なものを送ってくれたが、そこに入っていた手紙に、祖母自身の寄宿舎時代の思い出が書いてあったりして、これまた実の娘である母が「そんな話は知らないわ」みたいな内容だったこともあった。(祖母は高等女学校を出た後、当時の女子専門学校なるもの、今で言ったら多分短大みたいなものに、寄宿舎に入って通っていたそうで、戦争まではけっこうお嬢育ちだったのだ。そういえば、もっと小さい頃、家に帰って、習字の先生の履物があるのを見つけると、習字が嫌いだったのでそのまま家を出てまた遊びに出かけた、なんて話もしてましたっけ。)

自分史とか、あるいは郷土史とか、女性史なんてものでも、お年寄りの話を聞き書きして作ったものはあれこれあるけれど、自分につながる人の昔話は、聞けるうちに聞いておくと、例えば、少し、歴史というものへの見方が変わってくるんじゃないかと思ったりする。

実はこの祖母の母、つまり私の曾祖母という人は、私が23歳か24歳まで生きていたのだけれど、遠くに住んでいたこともあって、私自身は、5歳かそこらの時にしか会ったことがない。当然、昔の話など聞いたこともない。明治生まれの人の話が聞けていたら、これまたさぞかし興味深かっただろうなぁ、と、今なら思うのだけれど。

私はこれで祖父母も全員亡くなってしまい、思い出話もあまり聞けなくなってしまったけれど、通夜の席でも私の知らない昔のエピソードが飛び出したりもしていたし(祖母は戦時中、代用教員をしていたのだけれど、その時の話とか。)法事の席などで、親たちやそのいとこ達などから、また知らなかった話が聞けるかもしれない。

そしてそうして考えてみると、自分の親の子どもの頃の話なども、案外知らなかったりするものだ。

時には、今の話、孫が去年と比べてこんなに大きくなった、なんて話をするだけじゃなく、昔の話を聞いたり、しまってあったモノを見たりする時間が持てるといいなぁと思う。自分の子と、自分たちの親の間でも。
by mmemiya | 2007-01-06 16:59 | 日々雑感