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La Lune Lunatique

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ミカンの話

果物じゃなくて、未完。

王者?女王?ガラスの仮面だけでなく、完結してない、完結の危ぶまれる漫画、途中で打ち切られちゃった?漫画、って、けっこうありますよね~。
王家の紋章の場合は、まぁ、途切れずに連載が続いているんで、ただ長いだけなのかもしれないけど(爆)。

人気がないから打ち切られた、というようなタイプのことは除き、どうも、マンガというのは、構造的に未完作品、あるいは無駄に長い作品を生み出しやすいのではないか、と、急に思いました。

無駄にダラダラ書くというのは、けっこう簡単なことで(描写なんて細かくすればキリがないし)、一方で、必要な部分を押さえつつ、コンパクトに刈り込む、というのは、かなりの技術を要することです。小説の新人賞なんかでも、えっらく長い作品を応募したりする人があるそうですが、さもありなん。

ところで、無駄なところをなるべく減らすには、一度全体を書き上げてみて、うーん、ここは不要かも、ってところを削っていく、というのがやりやすいですよね、多分。
でも、マンガって、普通、書下ろしじゃないです。連載です。

大まかな構成を決めておいたって、どうやったって、書いていくうちに変化する部分、というのはあるでしょう。しかも連載の場合、毎度、ある決まったページ数に、ある程度まとまった内容を押し込め、なおかつ、最後は「つぎも読みたい」と思わせるような「ヒキ」があるのが望ましい。
各回のページ数やらヒキやらをないがしろにせず、そんでもって冗長にならずに連載を通して作品をまとめる、というのは、全部書いてみて修正する、というパターンに比べて非常に高度な技術を必要とする、というのは容易に想像できます。長期連載でテンションを維持しつつ、なおかつ過不足なく物語をまとめるって、ものすごく大変なことでしょう。
一歩間違えれば、いくらでも(連載する場所が与えてもらえる限りは、ですが)ダラダラになってしまう要因が転がっている。このあたりが、おそらく、編集者の腕の見せ所なんでしょうけどね。ちがうかな?

まぁなんというか、長くなってくると、ぶっちゃけ、「これはこの後はこうなるの」という展開さえ教えてもらえればまぁいいわ、と言いたくなる作品もあるし、誰か、絵を似せるのがうまい人が、エンディングまでの骨格だけ教えてもらって、代わりにまとめてよ、と言いたくなるようなものもあるわけで。コミックス化に際して加筆修正ってのはあっても、削筆(なんて言葉はないって)なんて聞かないしな~。

昔の少女マンガって、その後のものに比べると、すんごくドラマティックでも、え?というぐらい短い巻数で収まっていたりして(文庫にすると一冊とか二冊とか)すごいよなぁと思います。

テンポよく連載できないでいるうちに、掲載スペースが与えてもらえなくなって、時々、思い出したように増刊あたりで続きは出るものの、未完…ファンにとっては悲しい限りの結末であります。
いや、テンポ良かったのに人気出なくて、作者も続きは考えているのに発表されない、というのも悲しすぎる話なんですけどね。

あと、これは想像に過ぎないんですが、多分、頭の中に骨格はあって、でも、細部がかけない、というのもある気がする。そんなの、プロ作家にはないことでしょうかね?あらすじ考えることと、ストーリーテリングって、別物だから、それもまた、起こりうることのように思うんですが。

作者急逝による「いたずらなKiss」の未完みたいなものは別として、こーやって考えてみると改めて、長期連載してきれいにまとまる話って、実はその方が例外的、とまでは言わなくとも、様々な才能や運が重なって初めて生まれるものなのかも…。
by mmemiya | 2007-05-10 01:22 | 日々雑感