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「30分でだいじょうぶ うちのファミリー・フレンチ」脇 雅世

パリはあちこちに市が立つ。私の住んでいたアパートから1キロ四方の範囲にさえも、3箇所の市があった。(開催される曜日はそれぞれ異なる。)
仕事が休みの土日しか行く時間はつくれないので、主に利用していたのはそのうちの一つだけれど、ずらっと何十も並んだテントの下に、肉屋、魚屋、八百屋は勿論、チーズ屋だの雑貨屋だのまでが並ぶ光景は壮観だった。
ただ、「こんにちは、ありがとう」だけを言えばいいスーパーと違って(注:スーパーのレジも挨拶は必須)言葉のやり取りが必要な市場に、ある程度臆することなく出かけられるようになったのは滞在半年が過ぎる頃からで、フランスの食材の豊かさを満喫できた時間が短かったのは、返す返すも残念だ。

スーパーですら、にんじん、じゃがいも、たまねぎの類を除けば、大抵の野菜は旬の時期しか手に入らず、それなりの季節感を感じることができる。一方で、肉売り場には牛、豚、鶏だけでなく、子牛、子羊、うさぎ、七面鳥、うずらといった肉がずらりと並ぶ。
まして市場は、春になれば野草が並び、秋はきのこ専門店が現れ、解禁となった各種のジビエ(狩猟で捕獲された鹿やいのしし、きじ、野うさぎなどの肉)がぶらさがり、冬にはうずたかく積まれた殻つきの牡蠣…

そんなフランスの食材をどう料理すべきか、いつも私が開いていたのは、フランス在住邦人おなじみの日本語新聞「オヴニー」に連載されていた料理記事をまとめた本「パリっ子の食卓」だった。
しかしこの本は現在品切れ…ということで、手軽に手に入るフランス料理入門として、脇雅世さんの「30分でだいじょうぶ うちのファミリー・フレンチ」をおすすめ。
フランス料理、といってもレストランで出てくるそれではなく、フランス人たちが家庭で日常食べている食事はこんな風か、と垣間見ることができる。
珍しい食材を使っているわけではないけれど、それだけに気軽に作れるのもポイント。

フランス料理というと、日本ではなぜか、非常に何皿も出てくることが多いが、フランスの庶民的~中級レストランでは、「前菜+メイン+デザート」の3皿が普通。それを「前菜+メイン」や「メイン+デザート」にすることも可。
(それが、日本人だと男性でも食べきるのが難しいほどの量、出てくるわけだが…)
この本ではそんな感じで、手軽なデザートまで提案されているのも嬉しい。
30分では難しいかもしれないけれど、3皿を手際よく作るための順番も、親切に記載されている。
by mmemiya | 2006-02-12 20:21 | 料理のこと