La Lune Lunatique

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Mother Tongue, Father Tongue

4歳を過ぎ、娘の言葉が、相当達者になってきた。
一般的には、男の子より女の子が口達者、なんて言われるが、我が家の場合、息子は、1歳代で3語文を話したぐらいで、かなり口が早かった。(1歳10ヶ月の時、私が「あー、あくびが出る」と独り言を言ったら、息子が「Kくんはあくび出ない」と応えたのが、助詞がきちんとついていたことも含め、一番印象深い。当時の記録を読み返すと、3語文そのものはそれより前にも出ていたようだが、うかつにも最初の3語文を記録していない!と書いてある。)娘のことは、ついついそんな息子と比較してしまい、平均的な発達であっても、むしろこの子は上に比べるとちょっと言葉遅いよねー、みたいな目で見てしまっていたのだが、このところは、兄が刺激になってる、ってのもあるだろうが、かなり言いたいことを上手く表現している、と思う。昨日、「怖い夢や悲しい夢を見たことがある」なんて話題の途中で「Cちゃんは、ディズニーランドにいくはずだったのに、行けなかった、って夢を見たんだよ」と発言した娘。おやー、いつのまにそんなややこしい時制を使いこなすようになったんだー、と、母はちょっと見直しましたよ。

とはいえ、たまぁに、娘の言葉遣いで(いや、息子もなんだが)引っかかることがある。それは、コドモだから当然、って話じゃなくて。今日も娘は、足の、とびひになりかけだったカサブタのことを「明日は既に治ってるかもしれんし」と言った。この子の口から「既に」を聞くの、これで何回目か。幼児の語彙じゃないですよ。でもさ、それがどっから来ているか、って言ったらさ、親の口真似から、しかありえないんだよねー。

私自身の過去を振り返ると、人から、言葉に関して指摘されたことで印象深いことが3点ある。
1.確か小学生の頃、話し方が気取っている、と言われた。
2.中学の担任に「難しい言葉をたくさん知っているが、時々、読み方が間違ってる」と言われた。
3.二十代半ばの頃、当時の上司に「難しい言葉でしゃべりすぎる」と言われた。

2については、要するに、大人の本を読んでは色んな言葉を覚えていたわけだが、振り仮名がないので勝手に「こう読むんだろう」と思って覚えた単語がいくつかあった、ということだ。具体的な例はもう、思い出せないけど。もう一つ、友人に「(ある単語の)アクセントがおかしい」と指摘された記憶もあって、これもまた、耳から聞いて覚えたのではなく、視覚的に覚えた単語に、自己流のアクセントをつけていた、ってことである。 
昔、好きだった「アトムの子ら」って小説に、突然変異でものすごい天才児になった子どもが出てくるんだけど、その子が幼稚園児のときに、大人に、本で覚えた知識を得々として披露していたら、「この子どものしゃべってること、面白いぞ」って言われて、初めて、自分が本で知った難しい単語の発音が間違っていることを知った、ってシーンがあるんですね。これはアメリカが舞台なんで、英語のスペリングと読み方の話なんだけど、このエピソードの記憶は、身に覚え?があるだけに鮮烈。まぁ、難しい本、と言っても、小学校(5年生の頃だけど)の読書の時間に好きな本を持ってくる、って奴で司馬遼太郎の「項羽と劉邦」(すんごく好きだったのです、この本。)持って行ってたりしてた程度ですがね。それより前に、森敦の「月山・鳥海山」を読んで、文字だけは最後まで読み通したものの、さーっぱり分からなかった、という記憶はあります。

3については、別に私は普通にしゃべってるつもりなのだけれど、例えば、大和言葉で「たくさん」というところを、私は「いやー、もう、ゴミが大量にあって~」なんてしゃべる、要は漢語が多すぎる、みたいなことを言われたんですが、そんなもん、別にわざとじゃなくって単なる癖なので、なかなか直せるもんじゃあない。これもまぁ、耳からじゃなく、目から自分の日本語を増やしてったことの弊害みたいなもんなんでしょうが。一般的に、女性は男性より、漢語使用率が低いそうなので、女らしくない、って言いたかったのかもね、その人は。
(そういえば、この「漢語多すぎる」は、もー、うちの夫が私以上にひどい。子どもに対して漢語使いまくるので、私は横から注釈、言葉の置き換えに忙しいのだが、夫本人は何も問題だと思ってないらしい。いやさ、あなたの説教、通じてないってばさ、と、私は横で見てて思うんだけど。)

1に関しては、確か、あまり方言を使おうとしない、気取ってる、みたいな言われ方だったように記憶している。記憶違いかもしれないが。
私の通った小学校は、出来たての新興住宅地にあった。毎年、各学期の初めの始業式には、壇上にずらりと並んだ転校生が紹介された。入学した時には2クラスだったけど、卒業する時には同じ学年が3クラスになってたからね。記憶を頼りに書くが、入学時の全校生徒数が200人台、卒業時は600人台だったはずだ。
で、もちろん、子ども達はこの地域の言葉をしゃべる、のだが、近郊からの引っ越しが多いとはいえ、そういう「もともとこの地域の出身ではない家庭」がけっこう混じっていたせいだろう、中学に上がったら、そんな年齢になって初めて聞く「この地方の方言(単語)」がいくつかあって、「それ、どういう意味?」とビックリした記憶がある。3つの小学校から子どもが集まっていたが、残り二つの小学校は、親の代から、あるいはもっと前からこの地域に住んでいる、という人がかなり多いエリアにあったから、だろう。
具体例をいっこあげちゃうと、「なまかわ」って単語がその一つだったのだが、私、今でもこの語は、意味は分かるけど、自分では使えない。小学校で、普通に使ってた「机をつる」とか「B紙」とかは使うんですがね。

そして、私の言葉が「気取ってる」と言われた原因は、多分、もう一つ、ある。もちろん、書き言葉から習得した言葉が多くて話し言葉としてぎこちない、という要因もあるにはあったろうが、私は恐らく、自分の父に原因がある、と睨んでいる。
うちの父は、就職で他県に来た、という人なので、当地の言葉を話さない。かといって、家庭内で自分のお国言葉を使っていたわけではなく、なんとなく標準語みたいな言葉を使っていた(あ、過去形じゃないな、今もだ)。
ま、母にしたところで、家でしゃべってる言葉と、自分の実の親としゃべってる言葉がずいぶん違うじゃん、と思える部分はあったのだが(要は、実家に帰ると方言色が強くなる。同じ県内だってのにね。まぁ、地域差じゃなく世代差なんでしょうが。)恐らく私の言語形成には、その「父がこの地域の言葉をしゃべれない」ってのが、多少なりと影響していたのだろうと思う。

私の通った大学は大阪にあったので、関西圏の学生が多かったが、クラスメイトに、二人、「関西人のはずなのに、どこか関西アクセントがぎこちない」と思える子がいた。聞けば、一人は、生まれも育ちもずっと同じ場所なのだけれど、片方の親御さん(確かお父さん)が、非関西圏の出身だった。もう一人は、5歳からずっと同じ場所に住んでいるが、生まれてから5歳までをアメリカで過ごしていた&やっぱり片方の親御さん(こちらも確かお父さん)が、非関西圏の出身だった。彼女曰く、弟さん(3つぐらい年下だったかな?)の方は、もっと流暢な?大阪弁を操るとのことだった。

母語、すなわちMother Tongueとは言っても、Father Tongueなんて言葉はないけれど、それが父親であっても、親の言葉というのは、やはり子どもの言葉に、影響を与えずにはいないらしい。

となると、この私の子どもも、話し言葉がどーも時々ぎこちない私&漢語使用率の高すぎる?夫(普段より、説教しようとすると無意識に漢語使用率が上がってる気がするなぁ。構えてるから?)の影響を受けて、なーんかぎこちないしゃべり方をするようになるんですかねぇ。娘の「既に」が、既にしてその萌芽なのかもしれんが。あー恐ろしい。もーちょっと柔らかいしゃべり方を心がけなきゃいけないかも、私。
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by mmemiya | 2008-07-17 23:59 | 日々雑感 | Trackback | Comments(6)
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Commented at 2008-07-20 08:06
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by mmemiya at 2008-07-21 08:30
鍵さま、コメントありがとうございます。いや、公開でも別に「迷惑」はかからないと思いますが…。
あー、別にうちは、高学歴夫婦じゃないですよ。二人とも学部卒だし、出たところも(違う学校ですが)二期校だし。
言葉遣いというのは、受け取る人によっては、やはり「不快」と感じることもあるんでしょうね。人間性とあいまって、なのか、言葉遣いが、人間性というかその人の印象を大きく左右しているのか、そのあたりはよく分かりませんが。私も、上司に指摘されたのは「不快だから」のようでした。そんなもの、既に私の一部なので、何かの場面で不適切な言い方をしたなら改めますけど、日常の自分の話し言葉を不快だと言われても、うーん・・・って感じですよねぇ。あ、私もその指摘を受けるまで、自分が「難しい言葉」をしゃべってるとは思いませんでした。ただ、夫が子どもに怒ってるのを見ると、しょっちゅう、「あのさー、この子、何を怒られてるか分かってないってー」と茶々入れたくなりますね。相手の理解度に応じて言葉を変える努力は必要だと思います。
Commented at 2008-07-21 21:03
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by mmemiya at 2008-07-21 21:42
鍵さま、私がうっかり鍵マークを見落とすかも、という問題を除けば、別段、非公開コメントは迷惑ではありません。
はいはい、私は、国立A日程B日程の世代です。確か、すぐに前期後期になっちゃって、非常に短い命だったように思いますが。
一期校二期校は、えーっと、大学時代には知っている言葉でしたが(自分の学科の助教授に「えー、ここは二期校ですよ~」と言って「一期校じゃなかったの?」と驚かれた記憶がある。で、今回調べてみたら、一期二期の制度が始まった当初だけ、実は一期校だったようです。)今でも、某巨大掲示板の学歴板(見るだけでめまいがするところですが)あたりじゃ日常用語ですよ。我が夫はこの単語、知りませんでしたが。まぁ、意味があると思っている人には意味がある言葉なんでしょうかね、今でも。
Commented by okimuff at 2008-07-22 22:26 x
会話に漢語が多いという指摘、私もされたことがあります。全く意識していないのですが、話しやすいのでついそうしているらしい。聞いている人から見ると、奇異らしい。私も直せといわれてもなぁ・・・と。
娘達の言葉は全く気の毒なことに、東京近郊で生まれ育ったにもかかわらず、両親が南東北出身なので、どこから聞いても娘達にその訛りはしっかり染み付いてます。小学生の時3年間岡山出過ごしたので、その影響も多少受けました。で、当時国語で朗読したとき、岡山訛りバリバリの女の先生に「あんたのアクセントはちぃっとおかしいなぁ~」と言われ、娘が「先生のほうが変なんじゃ」と憤慨していたことがありましたっけ。確かに子供の言葉は親の影響大きいですよね。英国で育っている弟の娘の日本語は、紛れもない南東北訛りでなかなか面白いですよ。
Commented by mmemiya at 2008-07-22 23:03
Okimuffさま、けっこう同士?がいて嬉しいです。うちの夫は今日、子どもに「不変」とか言ってましたが、それ、絶対通じてないから…と内心で突っ込んでいました。まぁ、漢語の中には、耳で聞いて分かりにくいというか、同音異義語があったりするのは確かなので、私も、耳で聞いてもらう文章(放送原稿みたいなものとか読み聞かせとか)を作るときはなるべく気をつけて確認するのですが、日常会話の中ではつい、漢語が出ちゃうようですねぇ。
子どもの言葉には、親の影響と、子ども同士の影響と、学校の場の影響があるようですが、アクセントはやっぱり、一番親の影響を受けやすいものなのかなー、と、お話を伺うと改めて思います。